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法華狼の日記

3000-01-01 このダイアリーについて

hokke-ookami3000-01-01

日記の主な話題は、アニメやネットや歴史認識についての感想。


記事リストは以下。自作小説、へのへのもへじ、アニメや諸文化や歴史にまつわるデマ、等々。

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2017-05-24

[][]ジェイ・エルをジオン・ズム・ダイクンと想定するなら、『トライブクルクル』は実質としてプレ宇宙世紀

世界の苦しみに心を痛めるカリスマと、そのカリスマの形骸を利用しようとする信者と、そのカリスマの慈善事業すら愚かな世界の一部品でしかないという世界観いいよね……

トライブクルクル - tribecoolcrew - Official

そろそろ冨岡淳広シリーズ構成のガンダムがあってもいい気がしているのだが、過去にメインで手がけたロボットアニメを思い返すと、『ネクスト戦記EHRGEIZ』も『ダンボール戦機』も残念な感じに薄かったので、不安もある。

これからガンダムは何をやるべきか

2017-05-22

[]『裸足の夢』

独立を果たしつつも内戦が尾を引き貧困がつづく東ティモール。そこにサッカー選手をドロップアウトした韓国人キム・ウォンガンがやってきた。

勢いで新しい商売に手を出しては失敗ばかりのウォンガン。東ティモールに来たのも、コーヒー事業の儲け話に騙されたためだった。

すぐに帰ろうとしたウォンガンだが、子供たちが素足でサッカーしている姿を見て、小さなスポーツ用品店を独占事業にしようと思いつく……


東ティモールと韓国、そして日本をつなぐ2004年の実話にもとづいた2010年の韓国映画。スポーツをとおした再生のドラマを約2時間で過不足なく描きだす。

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監督は脱北者を描いた劇映画クロッシング*1キム・テギュン。主人公は 『依頼人』のパク・ヒスンで、彼を助ける大使館員を『義兄弟』のコ・チャンソクが演じる。さらに東ティモールで商売をしている日本人を清水圭が演じて、意外な役者ぶりを見せる。

東ティモールでロケした映像もまったく隙がない。やや黒味の強い、BBCドキュメンタリードラマのような質感。教科書的になめらかなカメラワークが基本だからこそ、銃撃戦の一夜だけ手持ちカメラで映像をブレさせる技法の印象が際立つ。サッカー描写も状況の推移が映画としてわかりやすい。


サッカーにくわしくないので、モデルとなった実話との違いや描写の妥当性はわからない。しかし少なくとも劇映画としては素直によくできていたし、実話を知らないからこそ結末の展開で素直に驚くことができた。

まず、スポーツ物において、利己的な主人公が純真な子供たちに感化されていく展開は定石だ。しかしこの映画はほぼ終盤までウォンガンのダメな性格が変わらない。勢いで商売に手を出しては、狡猾にたちまわろうと動いて後戻りできなくなっていく。

貧しい社会では客がなかなか買わないからと、先に子供たちへスパイクシューズをわたして、言葉たくみに1日1ドルのローンをくむ。一方のチームだけに売ることで、シューズの優位性を実感させる。そのチームへ指導を始めるのも、試合に負けるとグラウンドの使用権を失い、意味のなくなったシューズがつきかえされてしまうから。敵チームの有望な子供をひきいれようと工作したりもする。

主人公がつまらない欲望にまみれているからこそ、幸せな未来をつかみたいという子供たちの欲望のけなげさに観客としても共感しやすい。親切で善良な大使館員が端々で手助けし、同時に主人公の愚かさを批判もするから、見ていてストレスがたまりすぎることもない。

そんな主人公だが心底の悪人ではなく、勢いで物事を始めるからこそ、時には英雄的な行動をとったりもする。しかしその英雄的な行動でさえ、尾を引く内戦には無力なままで、むしろ新たな危機をよびこんでしまう。成功と失敗が自然に連鎖し、反復しつつ結末へ向かっていく構成の見事さ。

2017-05-20 上げたのは1日後

[][]共謀罪可決に対して「野党は情けない」と評した人物が、森友学園加計学園の質疑と共謀罪の質疑を区別せず、辞書に書いてあると嘘をついた安倍氏を批判しなかった件

問題にしたいのは、すでに少なからず批判されているtakuramix氏のツイート

政府与党側の資料の隠蔽や答弁の虚偽が明らかにされている森友学園や加計学園がどのように筋が悪いのかわからないが、そもそも共謀罪とは別個に質疑されている。

批判を受けてtakuramix氏は下記のようにツイートしているが、はてさて上記ツイートから下記のような認識をもっていることがうかがえるだろうか。


そもそも、takuramix氏が国民のひとりだとして、「危険性の本質」を答弁から理解できる能力があるのか疑わしい。

一例として、takuramix氏は共謀罪の適用範囲の質疑で出てきた「そもそも」の語義の件について、知らなかったから野党を批判したのかというと、そうではない。

「基本的に」という語義が辞書に書いてあるという嘘をついた安倍晋三氏ではなく、その嘘をもって非難された山尾志桜里氏を批判していた。

そして辞書を引いたら出てくるという論点をつくりだした安倍氏ではなく、その論点にそって安倍氏を批判した朝日新聞を批判した。

もちろん安倍氏の虚偽を批判していたのは朝日新聞だけではない。

「どだい」という言葉を経由して同じ意味があるかのように主張する答弁書閣議決定されたことを受けて、毎日新聞などは校正どころか校閲部が批判記事を出した。

政府答弁書:「そもそも」は基本的に 文法的にどだい無理 - 毎日新聞

 大辞林で「どだい」の意味があるとする「そもそも」は名詞用法だ(文例「そもそもは僕が始めたもの」)。「どだい」も、その意味とする「基本」も名詞だが、首相の言う「基本的に」は名詞ではない。「どだい」に副詞用法もあるが、否定的な文脈で使われる。

 大辞林を刊行する三省堂辞書出版部の山本康一さんは「確かに『そもそも』の説明に『どだい』を入れ、『どだい』の説明に『基本』を入れている。だがそうは言っても『そもそも』がすぐに『基本』と結びつくとは言いにくい」と話す。

辞書を、言葉をなんだと思っているのか | 毎日ことば

山尾さんの「そもそも=初めから」という認識も一方的だと思います。しかし、「それとは違う意味なのですよ」と指摘するのはいいのですが、「辞書で念のために調べた」として「基本的にという意味もある」と答弁したのは失敗でした。

そう明記した辞書は見つからず、代わりに政府が答えたのが大辞林の「どだい」でした。これは少なくとも「辞書には基本的にという意味もある」という答弁が虚偽だったことを示すものでしょう。

2017-05-18

[][]『けものフレンズ』や『この素晴らしき世界に祝福を!2』に対して、「作画低カロリーアニメ」と表現することは適切だろうか?

話題になっているのは、多根清史氏(id:bigburn)によるレビュー記事*1

けもフレ&このすば:「作画低カロリーアニメ」のヒット 業界の“常識”打破 - MANTANWEB(まんたんウェブ)

二つのアニメには「作画のきれいさが最優先事項ではない」という共通点がある。大作とはほど遠い、「作画低カロリーアニメ」の2作品が支持を集めたことは、アニメ業界の“常識”に疑問を投げかけ、ビジネスモデルのあり方を一変させる可能性を秘めている。

念のため、とりあげられているアニメ2作品が映像制作において単純に手を抜いているわけではないと、記事の後半で指摘もしている。

「このすば2」は、より「笑い」に振り切り、ヒロインたちもギャグ顔が増えた。全般にキャラクターの線が減らされていたが、シリーズを通じて一貫性があったので「作画崩壊」ではなく狙ったものだろう。その分「動き」が豊かになり、最終回では「作画がきれい、かつ動く」作りになっていた。

作画については、「けもフレ」は3Dモデリングは簡素とはいえ30体以上も用意され、背景やあまり登場しないフレンズは手描きの絵で済ませる「2Dと3Dの補完」を行っている。

しかし全体を読んでも、記事における「低カロリー」という表現の意味がよくわからない*2


記事は最初に「作画のきれいさ」が求められる近年のアニメ視聴者のありようを指摘した。これはほぼ同意できる。

近年のアニメ視聴者は、キャラクターの絵が崩れたり、整合性の合わない動きがあると「作画崩壊」と話題にする傾向がある。そのプレッシャーを制作サイドも意識して、絵柄が丁寧に統一された作品が増えた。だが、それが当たり前になった現在、きれいな作画は埋没しやすい。

しかし主に3DCGで制作されている『けものフレンズ』は、絵柄の不統一は原則的にありえない。そのためか、モデリングの簡素さを指摘している。

「けもフレ」も、最初は「作画の物差し」で測られかけた。舞台は、動物たちが人間のような姿に変化した「フレンズ」が暮らす「ジャパリパーク」。そこに迷い込んだ「カバンちゃん」が何の動物かを調べるために、フレンズのサーバルちゃんと共に旅をする。フルCGアニメだがモデリングは簡素、第1話では失望する声も少なくなかった。

キャラクターのモデリングでいうなら、同じスタッフによる『gdgd妖精s』以降の諸作品と大差があるわけではない。とはいえ、新たに参入した視聴者が不満を感じることはあるかもしれない。1話の映像については、冒頭の追いかけっこシークエンスが長すぎて単調といった評価を見かけた*3

しかし、どちらにしても「作画のきれいさ」とは少し違うのではなかろうか。どちらかといえば「簡素」という表現が正確だと思われる。線を減らすことを「低カロリー」と表現するのならば、たしかに作業工程も全般的に簡略化されるだろうし、違和感はない。


比べると、『この素晴らしき世界に祝福を!2』については、もう少し問題が複雑だ。

多根氏がいうように「シリーズを通じて一貫性があった」ならば「絵柄」ではないにせよ「丁寧に統一された」という評価を受けるはずだろう。

事実、同じスタッフが制作した無印もラフな作画が多用されており、比較すると『2』は全体に神経がいきとどいて作画アニメとしていっそう向上していた。番組宣伝映像を比較しても、『2』の動きがより細やかになりつつ、線の数そのものはさほど減っていない。

「この素晴らしい世界に祝福を!」番宣CM - YouTube

TVアニメ「この素晴らしい世界に祝福を!2」PV - YouTube

ここで公式サイトのキービジュアルで比較すると、『2』は頬の丸みなどでわかるように肉感的になり、目の位置が上がって骨格の立体感が増している。むしろ簡略化とは反対の方向だ。

アニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』公式サイト

アニメ『この素晴らしい世界に祝福を!2』公式サイト

『2』のキービジュアルは、無印でキャラクターデザイナー作画監督として全カットに手を入れた第9話の絵柄に近い*4

つまり『2』の作画に対する当初の否定的な評価は、キャラクターデザイナーの絵柄が前面に出て、それが視聴者の嗜好にあわなかったことによる違和感と考えるべきだろう。

肉感的な作画が視聴者の嗜好に反した前例として、オリジナル作品なのに本編の絵柄が視聴者に反発され、EDの簡素な絵柄が高評価された『機神大戦ギガンティック・フォーミュラ』という作品があった。

「機神大戦ギガンティック・フォーミュラ」 | バンダイチャンネル

この問題を「カロリー」という表現で評価することが妥当とは思えない。

*1:作画の話題からはずれるが、公式では「かばん」とひらがな表記されるキャラクターを「カバンちゃん」と表記しているのはミスではないだろうか。けものフレンズプロジェクト|公式サイト

*2:念のため、作画の制作にかかる手間を想定して「カロリー」と表現すること自体はインターネットで定着しつつある。

*3:私自身は、3DCGという手法を活用し、あえて視点を低く草むらで前方を見えにくくしたPOV的な演出として、好印象だったことをおぼえている。

*4菊田 幸一さんのツイート: "宣伝コーナー! このすば9話、今日放送です。 放送では最後の担当話数なので、無理を言ってバンク以外は全カット原図からレイアウトを直させてもらいました。 かなり頑張ったのでよろしくです。 宣伝コーナー終わり。" なお、第9話そのものはエロティックな出来事を前面に出したエピソードであり、なおかつ無印内の比較で作画が良好だったため、視聴者に好意的に受けいれられていた記憶がある。傍証として、ブロガーが毎年の印象的な単独エピソードを選ぶ企画において、2016年の2位につけていた。「話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選」の投票集計結果の雑感 - 法華狼の日記